しょっかんの研究所

食感の用語集

食感の測定で使うことばを、このサイトで用いている意味で定義しました。 図鑑や記事の中で分からない語が出てきたら、ここに戻ってきてください。

食感ということば

ことばの側から。人が感じるものと、その呼び名。

食感しょっかん
食べものを口に入れたときの、噛みごたえ・舌ざわり・のどごしなどの感覚。英語では texture(テクスチャ)。味やにおいとは別の、力学的な性質に由来する感覚を指す。
テクスチャてくすちゃ
食感の英語名 texture。食品の分野では、力を加えたときの変形や破壊のしかたとして測定できる性質を指す。
オノマトペおのまとぺ
「サクサク」「ふわっ」「とろり」のような、感覚を音で表すことば。日本語の食感を表すことばは、農研機構の調査で 445 語が整理されている(早川文代 ほか, 日本食品科学工学会誌, 58(8), 359–374 (2011))。それぞれ違う荷重の形に対応している。関連サクサク(crisp) / ザクザク(crunchy) / 弾力
サクサク(crisp)さくさく
小さな破壊が数多く起きる食感。荷重の線に小さな山がたくさん並ぶ。湿気ると山の数が減り、なめらかに潰れるようになる。crisp と crunchy は、噛んだときに出る音の高さで分かれることが報告されている(Z. M. Vickers, J. Texture Stud., 15(2), 157–163 (1984))。関連ザクザク(crunchy) / もろさ
ザクザク(crunchy)ざくざく
大きな破壊が少ない回数で起きる食感。サクサクと比べて山が少なく、落差が大きい。サクサクとの違いは音の高さで説明される(出典はサクサクの項)。関連サクサク(crisp)
もろさもろさ
壊れるときの力の変化の細かさ。押していく途中で力が何度も小さく落ちる、その回数や落ち幅。小さな破壊が連続して起きている状態が「サクサク」にあたる。関連サクサク(crisp) / 破断点 / 3 点曲げ試験
弾力だんりょく
押したときに押し返してきて、離すと戻ってくる感じ。ひとつの数値に対応することばではない。押し返す強さ(弾性率)、離したあとどれだけ戻るか、力を加え続けたときに残る硬さ——どれも「弾力」の一部で、測り方によって別の数字が出る。「あそぶ」のゆめのおかし工場が だんりょく と はねかえり を別々に出しているのは、このため。関連弾性率 / 粘弾性 / 応力緩和試験 / TPA(テクスチャー試験)
官能評価かんのうひょうか
訓練を受けた人が実際に食べて評価する方法。人が感じたことをそのまま扱えるが、評価する人や日によって基準が揺れる。この揺れは、評価者のあいだの差と同じ評価者の繰り返しの差に分けて調べられている(T. Næs, R. Solheim, J. Sens. Stud., 6, 159–177 (1991))。物性測定はこの揺れを小さくする。

測る道具と測り方

装置の側から。何を使って、どう押すか。

レオメーターれおめーたー
試料に変形を与えて、返ってくる力を記録・解析する測定器。押す・引く・押したところで止めて待つ・ごくわずかに揺らす——与え方はいろいろあり、その応答の形から性質を読み解く。国内で初めてこの名を用いた測定器は 1969 年、株式会社サン科学の前身が発売した。
感圧軸かんあつじく
レオメーターの先端につけて試料を押す部品。円柱・くさび・針・球・平板などがあり、知りたいことに合わせて選ぶ。プランジャーとも呼ぶ。
圧縮試験あっしゅくしけん
試料を上から押し潰して、荷重の変化を記録する試験。立体のまま測れるので、食品では最もよく使われる。
貫入試験かんにゅうしけん
細い感圧軸を試料に突き刺して貫通させ、そのあいだの荷重を記録する試験。板状のもの(ビスケットなど)で、砕けが次々に起きるようすを見るのに向く。
3 点曲げ試験さんてんまげしけん
板状の試料を両端で支え、中央を押して折る試験。菓子の折れやすさを見るのに使われるが、山が 1 つしか出ないので、荷重の形だけでは「サクサク感」を山の数で語れない。荷重と同時に破断音を記録する方法がまとめられている(L. Duizer, Trends Food Sci. Technol., 12(1), 17–24 (2001))。関連もろさ / 圧縮試験
TPA(テクスチャー試験)てぃーぴーえー
同じ試料を 2 回続けて押して、人が 2 回噛むようすを模す試験。Texture Profile Analysis の略。1 回目の山の高さが硬さ、2 回目と 1 回目の面積の比が凝集性、引き上げるときに引っぱられる負の力が付着力にあたる。「あそぶ」のゆめのおかし工場の「テクスチャーしけん」は、この試験をもとにしている(工場では 凝集性 を「こわれにくさ」、付着力 を「くっつき」と呼んでいる)。関連凝集性 / 付着力 / 圧縮試験
応力緩和試験おうりょくかんわしけん
押したところで止めて、そのまま待つ試験。力が時間とともに抜けていくようすを見る。抜けきらずに残る分が弾性の側。粘性の側は抜けるのにかかる時間に出て、力が抜けるぶんの 3 分の 2 くらいが抜けるまでの時間を時定数という。「あそぶ」のゆめのおかし工場の「おうりょくかんわテスト」は、この試験をもとにしている。関連粘弾性 / 粘度 / 弾性率

記録から読む値

出てきた線から、何を読み取るか。

荷重かじゅう
試料を押したときに返ってくる力。単位はニュートン(N)。100 g のものを持ち上げる力がおよそ 1 N にあたる。
進入距離しんにゅうきょり
感圧軸が試料に入り込んだ距離。単位はミリメートル(mm)。横軸にとると、荷重の変化が「形」として見える。
最大荷重さいだいかじゅう
測定のあいだにいちばん強くかかった力。硬さの目安としてよく使われるが、これだけでは食感は語れない。同じ最大荷重でも線の形がまったく違うことがある。
ひずみ率ひずみりつ
試料の高さに対して、どれだけ押し込んだかの割合。95 % なら、もとの高さの 5 % になるまで潰したということ。測定モードの名前としては「歪み率」と書くこともある。関連進入距離 / 圧縮試験
破断点はだんてん
試料が壊れる瞬間。荷重の線が急に落ちる点として現れる。割れるもの(ビスケットなど)でははっきり出るが、潰れるもの(食パンなど)には存在しない。
食感の指紋しょっかんのしもん
荷重の変化が描く線の形のこと。食べものごとに固有で、配合や製法が変わると形が変わる。SUN LABO での呼び方。
粘弾性ねんだんせい
力を加えたときに、流れようとする性質(粘性)と、もとに戻ろうとする性質(弾性)の両方を示すこと。押す速さによって返ってくる力が変わるのが粘性の側、離すと戻るのが弾性の側。マヨネーズやヨーグルトのように、固体とも液体とも言いきれないものの食感を語るときに使う。関連粘度 / 弾性率 / 応力緩和試験
粘度ねんど
流れにくさ。同じ力で押したときに、どれだけゆっくり流れるか。単位はパスカル秒(Pa·s)やミリパスカル秒(mPa·s)。関連粘弾性 / 弾性率
弾性率だんせいりつ
変形に対して、どれだけ強く押し返すか。形を保とうとする度合い。単位はパスカル(Pa)。関連粘弾性 / 粘度 / 弾力
凝集性ぎょうしゅうせい
TPA で、2 回目に押したときの面積を 1 回目で割った値。同じものを 2 回噛んだときに、1 回目でどれだけ構造が壊れたかを表す。1 に近いほど、1 回噛んでも崩れずまとまりを保っている。関連TPA(テクスチャー試験) / 付着力
付着力ふちゃくりょく
押し込んだ感圧軸を引き上げるときに、試料が離れずに引っぱる力。荷重が負になる部分の底の値。ごはんの粘りのように、くっつく強さを表す。関連TPA(テクスチャー試験) / 荷重

※ 波形と数値は、株式会社サン科学のレオメーターによる実測です。測定条件は食べものごとに違うので、各ページに書いてあります。

つぎに見るなら

ことばの意味が分かったら、実際の形を見てみてください。

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